意思決定疲労と朝型経営——前頭前野は消耗する
意思決定は有限の資源である。判事の判決、オバマの服装、重要判断を朝に寄せる合理性を脳科学が裏付ける。
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扁桃体(amygdala)は側頭葉内側の小構造で、刺激に対する情動的意味づけと、自律神経・内分泌・行動反応の統合に関与する。恐怖条件づけや脅威検出で中心的な役割を果たし、前頭前野との相互作用を通じて、情動が意思決定に与える影響を媒介する。
アンカリング効果は、判断に先立って呈示された数値や情報(アンカー)が、たとえ無関係であっても後続の推定や評価に系統的な影響を及ぼす現象である。トヴェルスキーとカーネマンによる実験以降、交渉、価格決定、量刑判断、医療推定など多領域で確認され、意思決定環境の設計に大きな含意を持つ。
確証バイアス(confirmation bias)は、既に持っている仮説や信念を支持する情報を選択的に集め、強く記憶し、好意的に解釈する一方で、反証する情報を軽視・無視・歪曲する傾向である。科学的推論、政治的判断、経営意思決定まで幅広く観察され、討議設計やレビュー体制に深い含意を持つ。
二重過程理論は、人間の認知を自動的・直感的なシステム1と、意図的・熟慮的なシステム2の二種類の過程として描く枠組みである。速く省力のシステム1が多くの判断を担い、労力と時間を要するシステム2がそれを部分的にチェックする。カーネマンの著作を通じて広く知られた。
前頭前野(prefrontal cortex)は前頭葉の前方に広がる領域で、実行機能・計画・抑制・価値評価・社会的判断に関与する。背外側部・腹内側部・眼窩部などの細分領域が役割を分担し、扁桃体や線条体との相互作用のなかで、長期目標に沿った意思決定を可能にする。
プロスペクト理論は、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが一九七九年に提示した、リスクを伴う意思決定の記述的理論である。期待効用理論の規範的仮定とは異なり、人は参照点に依存し、同じ大きさの損失を利得より強く感じ、低確率を過大評価する傾向を持つことを実証的に示した。
現状維持バイアス(status quo bias)は、既存の状態から変化することに対して、変化の期待利得を上回る抵抗感を持つ傾向を指す。サミュエルソンとゼックハウザーが定式化し、損失回避、後悔回避、デフォルト効果、選択の過負荷などを背景として説明される。政策、医療、投資、組織意思決定に広く現れる。
サンクコストの誤謬(sunk cost fallacy)は、既に支出し回収不能になったコストが将来の意思決定を左右すべきではないにもかかわらず、それに引きずられて損失を拡大する判断を続ける傾向を指す。ダム事業、軍事介入、システム投資、新規事業の撤退判断など、実務的影響は大きい。