Tag
近世
-
大航海時代
15世紀末から17世紀にかけて、ポルトガル・スペインを皮切りにヨーロッパ諸国が海路で世界進出を行った時代。新航路・新大陸の発見により、銀・香辛料・砂糖などが地球規模で流通し始めた。国家と民間資本が結合したリスクテイクの仕組みが、後の株式会社や資本主義経済の基盤を準備した。
-
我思う、ゆえに我あり
ルネ・デカルト(1596-1650)が『方法序説』(1637)および『省察』(1641)で提示した、近代哲学の原点となる命題。ラテン語で *Cogito, ergo sum*、フランス語で *Je pense, donc je suis*。あらゆる知識を方法的に疑う『方法的懐疑』の末、疑っている自己の思考=存在だけは疑えないという確実な出発点に到達した。主観としての『我』を哲学の第一原理に据え、中世の神中心の世界観から近代の主体中心の世界観への転換点となった。
-
方法序説
ルネ・デカルト(1596-1650)が1637年に刊行した『方法序説』。全ての権威を疑い、明晰判明な観念のみを真理の基準とする方法的懐疑を展開。『われ思う、ゆえにわれ在り』(コギト)に至り、4つの方法規則(明証・分析・総合・枚挙)を提示した。近代合理主義の出発点であり、問題解決の思考フレームの原型。
-
オランダ東インド会社 ― 世界初の株式会社
1602年にオランダ共和国で設立された特許会社。複数航海を横断する永続資本、譲渡可能な株式、株主の有限責任、アムステルダム証券取引所といった、現代の株式会社を構成する要素をほぼ全て備えていた。アジア交易を独占し、200年近く存続した。企業という仕組みそのものの発明である。
-
江戸幕府と参勤交代
江戸幕府(1603-1867)は徳川家康が開いた武家政権。260年以上続いた安定の秘密は、兵農分離・身分固定・鎖国・参勤交代・武家諸法度など、諸大名の経済力と軍事力を計算ずくで削ぐ制度設計にあった。とくに参勤交代は、大名財政を恒常的に圧迫し反乱の芽を摘む、精緻な制度的抑止装置だった。
-
啓蒙思想 ― 理性の時代
17世紀末から18世紀にかけてヨーロッパで展開された、理性の力によって人類は進歩できるという思想運動。ロック・ヴォルテール・ルソー・カント・スミスらが自由・寛容・人権・市場といった近代的概念を整備し、アメリカ独立とフランス革命、そして近代資本主義経済の思想的基盤を築いた。
-
フランス革命
1789年、財政危機と特権批判をきっかけに始まったフランス革命は、絶対王政と身分制社会(アンシャン・レジーム)を解体し、人権宣言・共和政・国民国家という近代の枠組みを打ち立てた。一方で恐怖政治とナポレオン帝政も生み、旧体制崩壊のダイナミクスとその制御困難さを鮮明に示した事件である。
-
豊臣秀吉の人心掌握術
豊臣秀吉(1537-1598)は、尾張の農民の子から信長に仕え、本能寺の変後は織田政権を継承して1590年に天下統一を達成した武将。戦よりも調略と恩賞による味方作りを得意とし、人心掌握術と情報戦で敵を味方に変えていった。血統や家柄に頼れない成り上がりが権力を築く方法の古典例である。
-
本能寺の変
1582年6月2日、天下統一目前だった織田信長が、重臣・明智光秀の突然の謀反で京都本能寺で自害した事件。嫡男・信忠も討たれ、織田政権は一夜で瓦解した。動機については怨恨説・野望説・黒幕説など諸説あるが、重臣層への過剰な重圧と後継構造の不在が引き金になった点は共通する。
-
人間知性研究
デイヴィッド・ヒューム(1711-1776)が1748年に刊行した認識論の主著。人間の知識はすべて印象(経験)に由来し、因果律すら『繰り返し観察された結合の習慣』に過ぎないと論じた。カントを『独断のまどろみから目覚めさせた』衝撃の懐疑論。ビジネスにおける『相関を因果と誤認する』罠を2世紀半前に看破した古典。
-
予定調和
ゴットフリート・ライプニッツ(1646-1716)が『単子論(モナドロジー)』(1714)などで展開した形而上学的原理。世界は『窓のない単子(モナド)』という無数の精神的実体からなり、各単子は独立して自らの原理で変化するが、神の創造時の設計により互いに完璧に協調する。デカルトの心身二元論が抱えた相互作用の難問を解決する仕組みとして構想された。『可能世界のうち最善のもの』というオプティミズムと結びつき、ヴォルテールらから痛烈な批判も受けた独創的体系。
-
リヴァイアサン
トマス・ホッブズ(1588-1679)が1651年に刊行した政治哲学の古典。『万人の万人に対する闘争』という自然状態から脱するため、人々が契約により主権者(国家=リヴァイアサン)に全権を委譲する、という構造を示した。近代社会契約論の出発点で、イギリス内戦の混乱を背景にした秩序への切実な問いが、組織統治の原型を打ち立てた。
-
人間知性論
生得観念を否定し、人間の心は生まれたときは「白紙(タブラ・ラサ)」であるとしたロックの主張は、知識の起源を経験に求める近代経験論の出発点となった。感覚と反省という二つの経験から観念が生じ、それらの結合によって複雑な知識が構築される。教育論・政治思想の基礎にもなり、組織における学習設計と人材育成に通じる思考の原型を提供する。
-
方法的懐疑
ルネ・デカルト(1596-1650)が『方法序説』『省察』で展開した認識論の方法。感覚・推論・全ての知識を一度疑い、疑いえないものに到達する。『我思う、故に我あり(コギト・エルゴ・スム)』という近代哲学の出発点を生み、西洋思想を中世的権威から解放した。経営における前提検証の原型となる思考法。
-
モナドロジー
ゴットフリート・ライプニッツ(1646-1716)が1714年に著した形而上学の要約。世界は『モナド(単子)』と呼ばれる精神的個体の集合からなり、各モナドは独立しながら神の『予定調和』によって全体として協調する。独立した個が全体として整合する構造は、分散システム・自律型組織の古典的モデルとなる。
-
道徳感情論
アダム・スミス(1723-1790)が1759年に発表した倫理学書。『国富論』の17年前の著作で、スミスの思想的基盤。人間は『共感(sympathy)』を通じて他者の感情を追体験し、自分の中に『公平な観察者(impartial spectator)』を育てることで道徳判断を獲得するとした。市場の自由は、この道徳的基盤の上に初めて成立する——現代の『スミス問題』論争の核心である。
-
織田信長のイノベーション戦略
織田信長(1534-1582)は、尾張の地方大名から天下統一寸前まで登り詰めた戦国武将。比叡山焼討ちや一向一揆との戦いに見られる既存権威の徹底破壊、楽市楽座による経済自由化、鉄砲を組織的に運用する戦術革新など、制度と技術の両面で旧秩序を解体し新モデルを構築した。
-
ノヴム・オルガヌム
フランシス・ベーコン(1561-1626)が1620年に刊行した『新機関』。アリストテレスの演繹的論理学(オルガノン)に対抗し、観察と実験に基づく帰納法を提唱した。人間の認識を歪める『4つのイドラ』(種族・洞窟・市場・劇場)を列挙し、偏見を取り除いた実験的科学の基礎を築いた。認知バイアスの古典。
-
帰納の問題
デイヴィッド・ヒューム(1711-1776)が『人間知性研究』(1748)で提起した科学哲学の根本問題。『太陽は明日も昇る』という帰納的推論には論理的正当化がない、と論じた。経験主義の徹底がもたらした懐疑であり、カント、ポパー、現代ベイズ主義への出発点。過去の成功は未来を保証しない——事業仮説検証の根源的警告。
-
科学革命 ― ガリレオとニュートン
16世紀のコペルニクスから17世紀末のニュートンに至る、ヨーロッパでの自然観の根本的な転換。地球中心の宇宙観が太陽中心の力学的宇宙像に置き換わり、観察・数学・実験を結ぶ新しい知の方法が確立した。教会権威による世界説明から、検証可能な法則による世界理解への、思考の移行である。
-
関ヶ原の戦い
1600年9月15日、美濃国関ヶ原で行われた徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍の決戦。兵力では西軍が優位だったが、開戦前から家康が進めていた諸大名への調略と、小早川秀秋の裏切りにより、わずか半日で東軍が圧勝。江戸幕府成立への決定的な地固めとなった。
-
社会契約論
ジャン=ジャック・ルソー(1712-1778)が1762年に刊行した政治哲学の古典。ホッブズ・ロックと並ぶ社会契約論の三大著作の一つ。『人は自由なものとして生まれたのに、至るところで鎖につながれている』という冒頭で知られ、『一般意志』に基づく人民主権を提唱。フランス革命の思想的基盤となり、近代民主主義の根幹を築いた。
-
コナトゥス
バルーフ・デ・スピノザ(1632-1677)が主著『エチカ』で展開した中心概念。ラテン語で『努力・衝動』を意味し、すべての存在は自己の存在を維持・強化しようとする根源的な力をもつとした。感情とはこのコナトゥスが増減する経験であり、喜びは力の増大、悲しみは減少である。生命・組織・市場を貫く自己保存の原理として、現代の複雑系理論や組織論でも再評価されている。
-
エチカ
バールーフ・スピノザ(1632-1677)が著した主著『エチカ』(1677年遺稿刊)。幾何学の公理・定義・定理の形式で、神=自然の一元論、人間の感情のメカニズム、自由と必然の統合を論じる。『自由とは、必然性を認識すること』というスピノザ的自由概念は、感情に流されず事実を受け入れる経営者の思考法と響き合う。
-
君主論
ニッコロ・マキャヴェリ(1469-1527)が1513年に執筆した政治論書。分裂するイタリアの再統一を願い、メディチ家に献じた実践的統治指南。『君主は愛されるより恐れられよ』『目的は手段を正当化する』など冷徹な現実主義で知られ、道徳と政治を分離した点で近代政治学の出発点となった。マキャヴェリズムの語源。
-
統治二論
ジョン・ロック(1632-1704)が1689年に刊行した政治哲学の古典。第一論で王権神授説を批判し、第二論で自然状態・所有権・社会契約・抵抗権を論じた。生命・自由・財産は譲渡不可能な自然権とされ、政府はその保護のために存在する。アメリカ独立宣言やフランス人権宣言に直接影響し、近代自由主義の聖典となった。