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現代文学
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動物農場
ジョージ・オーウェルが一九四五年に刊行した寓話小説。イギリス郊外のマナー農場で、搾取される動物たちが老豚メイジャーの演説に触発されて農場主ジョーンズを追放する。しかし指導者となった豚ナポレオンは次第に独裁化し、最終的には「すべての動物は平等である。だが、ある動物は他の動物より平等である」という一文だけを残して、追放した人間と見分けがつかなくなる。ロシア革命の寓話として書かれた。
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すばらしい新世界
英国の作家オルダス・ハクスリーが一九三二年に刊行したディストピア小説。西暦二五四〇年の世界国家では、人間は試験管で製造され階級ごとに条件づけられ、不安は薬物ソーマで抑えられる。安定と幸福が何よりも優先され、芸術・宗教・家族は廃絶される。保留地で育った「野蛮人」ジョンの出現が、文明の空虚を照射する。オーウェル的恐怖統治とは異なる快楽的隷属の原型。
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華氏451度
アメリカのSF作家レイ・ブラッドベリが一九五三年に刊行した長編小説。書物の所持が禁じられ、消防士(ファイアマン)が火を消す代わりに本を焼くことを任務とする近未来社会。消防士ガイ・モンターグは、奇妙な隣人クラリスとの出会いを経て、自分が焼く本に何が書かれているかを問い始める。書名は紙の発火点とされる華氏四五一度(摂氏二三三度)に由来する。
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魔の山
ドイツの作家トーマス・マンが一九二四年に刊行した長編小説。ハンブルクの青年ハンス・カストルプは、スイス・ダヴォスの結核療養所にいる従兄を三週間の予定で見舞いに訪ねる。しかし自身も感染していると診断され、七年間滞在することになる。山の密度の濃い時間のなかで、人文主義者セテムブリーニとイエズス会士ナフタの論争を聴き、愛と死と形而上学を経験する教養小説の金字塔。
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変身(カフカ)
チェコ出身のドイツ語作家フランツ・カフカが一九一五年に刊行した中篇小説。ある朝、営業マンのグレーゴル・ザムザがベッドで目を覚ますと、自分が巨大な虫(ウンゲツィーファー)になっていた。出勤できず家族からも徐々に疎まれ、孤立のなかで衰弱して死ぬ。家族制度・労働・身体・疎外をめぐる現代の寓話として、二十世紀文学を象徴する作品となった。
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1984年
ジョージ・オーウェルが一九四九年に刊行した長編小説。核戦争後の超国家オセアニアで、党と指導者ビッグ・ブラザーがあらゆる生活を監視する。真理省に勤める下級党員ウィンストン・スミスは、禁じられた日記を書き、党員ジュリアと恋に落ち、地下組織を探すが、全ては党の仕掛けだった。拷問と洗脳の末、彼は「ビッグ・ブラザーを愛していた」と呟いて破滅する。
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老人と海
アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイが一九五二年に発表した中篇小説。キューバの老漁師サンチアゴは、八十四日間不漁の末、メキシコ湾流に船出し、巨大なカジキマグロと三日三晩の格闘の末についに仕留める。しかし帰路で鮫に食い尽くされ、帰港したとき残ったのは骨だけだった。ピューリッツァー賞を受賞し、翌年のノーベル文学賞の決定打となった晩年の代表作である。
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百年の孤独
コロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケスが一九六七年に刊行した長編小説。ジャングルの中に建設された架空の村マコンドを舞台に、ブエンディア家七代の栄枯盛衰を約百年にわたって辿る。空飛ぶ絨毯、四年間降り続く雨、人間の昇天といった奇跡的事象が日常として語られる「魔術的リアリズム」の代表作。一九八二年のノーベル文学賞受賞の決定打となった。
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失われた時を求めて
フランスの作家マルセル・プルーストが一九〇九年頃から死の直前まで書き継いだ七部構成の大長編。全三千ページを超える。十九世紀末から第一次世界大戦後の貴族社会・芸術家・恋愛を舞台に、語り手「私」の幼時からの記憶と芸術の完成への自覚を、精緻な文体と「無意志的記憶」の発見を通じて描く。二十世紀文学の最高峰の一つ。
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城(カフカ)
フランツ・カフカが一九二二年に執筆し未完のまま残した最後の長編小説。遺言に反してマックス・ブロートが一九二六年に刊行した。雪の夜、測量士を称する男Kが辺境の村に到着する。丘の上の城から仕事を依頼されたというが、城との接触はあらゆる手段で阻まれる。Kは村人・官僚・使者たちの迷宮のなかで足踏みを続ける。近代の疎外と制度へのアクセス不能を象徴する作品。
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ペスト(カミュ)
アルベール・カミュが一九四七年に刊行した長編小説。アルジェリアの港町オランが突然ペストに襲われ、都市は封鎖される。医師ベルナール・リウーを中心に、新聞記者タルー、カトリックの神父パヌルー、役人グランらが、それぞれの立場で疫病と戦う。ナチズムの隠喩として読まれると同時に、不条理な災厄に対する連帯の倫理を描いた二十世紀文学の重要作である。
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異邦人
フランスの作家アルベール・カミュが一九四二年に刊行した最初の長編小説。アルジェのサラリーマン、ムルソーは母の葬儀で涙せず、翌日には海水浴と情事を愉しみ、やがて太陽に眩んで見知らぬアラブ人を殺害する。裁判では殺人そのものより「母の葬儀で泣かなかった」ことが非難され、死刑を宣告される。不条理の哲学を小説化した二十世紀文学の金字塔である。
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審判(カフカ)
フランツ・カフカが一九一四年から一五年に執筆し、未完のまま残した長編小説。遺言で焼却を求められたが友人マックス・ブロートが一九二五年に刊行した。銀行員ヨーゼフ・Kはある朝、理由も告げられず逮捕される。以後一年にわたり罪状不明の裁判手続きに翻弄され、結局わからぬまま最後は「犬のように」処刑される。官僚制と近代的不条理の象徴となった作品である。
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ユリシーズ(ジョイス)
アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスが一九二二年にパリで刊行した長編小説。一九〇四年六月十六日、ダブリンの広告取りレオポルド・ブルームと、知識人青年スティーヴン・ディーダラスの一日を、全十八エピソードで描く。各章は異なる文体で書かれ、ホメロス『オデュッセイア』と対応する構造を持つ。意識の流れ手法を駆使した二十世紀モダニズム文学の頂点。