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日本文学
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平家物語
十三世紀前半までに成立したとされる軍記物語。作者は不詳。平清盛を中心とする平家一門の栄華から、源氏との治承・寿永の乱(一一八〇-一一八五)、壇ノ浦での滅亡までを描く。琵琶法師の平曲として語り継がれる過程で増補と改訂が重ねられた。「祇園精舎の鐘の声」で始まる冒頭は、日本人の無常観を凝縮する名文として知られる。
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方丈記
元神職の鴨長明が一二一二年に著した随筆。冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の一節で知られる。前半は京都を襲った大火・辻風・遷都・飢饉・地震といった災害を記録し、後半は日野山の方丈(約二・七メートル四方)の庵に独居する晩年の生活を描く。無常観のもとに書かれた中世日本の代表的随筆。
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万葉集
七世紀から八世紀半ばまでの約四百年間の和歌約四千五百首を集めた、現存する日本最古の歌集。全二十巻。大伴家持が最終的な編纂に関わったとされる。天皇・皇族・貴族のみならず、東国の農民や九州の防人、遊行女婦の歌までが収められ、万葉仮名で表記される。素朴で力強い感情表現を特徴とし、後代の宮廷歌集とは異なる古代日本の息吹を伝える。
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おくのほそ道
俳諧師松尾芭蕉が、一六八九年、四十六歳の春に門人曾良を伴って江戸深川を発ち、奥州・出羽・北陸を巡って大垣に到る約百五十日の旅をもとに、晩年まで推敲を重ねて成立させた俳諧紀行文。全五十一章段に、約五十句の発句が散りばめられる。「月日は百代の過客にして」で始まる冒頭は、日本紀行文学の金字塔として知られる。
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枕草子
一条天皇の中宮定子に仕えた女房清少納言が、一〇〇〇年頃までに書いた随筆。約三百段からなり、「春はあけぼの」で始まる四季の情景、「うつくしきもの」「にくきもの」といった類聚段、日記的章段が混在する。鋭い観察、優雅と機知、短く区切る文体によって、日本随筆文学の嚆矢となった。
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竹取物語
九世紀末から十世紀初頭に成立したとされる、仮名で書かれた現存最古の日本物語。竹取の翁が光る竹の中から見いだした三寸ばかりの女児が、三ヶ月で美しい姫に成長する。五人の貴公子の求婚を難題で退け、帝の求愛もかわしたかぐや姫は、やがて自身が月の都の者であることを明かし、八月十五夜に月からの迎えに伴われて昇天する。
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徒然草
南北朝期の僧兼好法師(卜部兼好)が一三三〇年前後までに書いた随筆。全二百四十三段からなり、仏道・武士・恋愛・学問・教養・世俗の愚かさなど、多様な話題に及ぶ。無常観を基調としながらも、人間観察の鋭さと機知、教訓と諧謔の混在が特徴。『枕草子』『方丈記』と並ぶ日本三大随筆の一つで、江戸期以降は教養の必読書となった。