Contents
概要
親鸞(しんらん、1173-1263)は、浄土真宗の開祖。法然(1133-1212)の弟子で、師の専修念仏をさらに徹底し、絶対他力の思想を完成させた鎌倉新仏教の代表的人物である。
京都日野(現・京都市伏見区)の下級貴族・日野有範の子として生まれる。
生涯
- 9 歳 — 比叡山に登る(青蓮院で得度)
- 29 歳 — 20 年の比叡山での修行を棄て、下山。六角堂に百日参籠ののち、法然の門をたたく
- 35 歳(1207 年)— 承元の法難で法然が土佐に、親鸞は越後に流罪。僧籍を剥奪される
- 流罪中 — 「非僧非俗」(僧でも俗でもない)を名乗り、妻帯(恵信尼)、肉食を公然と行う
- 42 歳〜 — 関東に移り、20 年にわたり農民・武士に布教
- 60 歳以降 — 京都に戻り、著述に専念
- 90 歳 — 京都で死去
思想
親鸞の思想は、師・法然の「専修念仏」をさらに徹底した 絶対他力 に集約される。
- 自力の完全否定 — 念仏する心も、阿弥陀仏から賜る
- 悪人正機 — 自己の罪深さを自覚する者こそ救われる(『歎異抄』)
- 非僧非俗の在家仏教 — 戒律ではなく信心を本質とする
主著 『教行信証』(けんしょうぎょうしんしょう)は、親鸞思想の体系的著述。弟子の唯円による語録『歎異抄』は、日本宗教文学の最高峰のひとつとされる。
現代への示唆
親鸞の生涯と思想は、現代の経営・自己論に特異な示唆を持つ。
- 「非僧非俗」の生き方 — 既存の役割規定(僧侶/俗人、経営者/従業員)に収まらない在り方
- 自力の限界の引き受け — すべてを自分の努力で制御できるという発想からの解放
- 弱さを出発点にする — 強さから始める成長ではなく、脆弱性の自覚から始まる成熟
吉本隆明の『最後の親鸞』や、司馬遼太郎のエッセイに見られるように、親鸞は近代日本の思想家を惹きつけ続ける対象である。自己の弱さと正面から向き合うリーダー像を考えるとき、親鸞の生涯は避けて通れない参照軸である。
関連する概念
[浄土真宗]( / articles / jodo-shinshu) / 法然 / 絶対他力 / 悪人正機 / 歎異抄
参考
- 原典: 親鸞『教行信証』、唯円『歎異抄』(金子大栄 校注、岩波文庫、1931)
- 研究: 吉本隆明『最後の親鸞』春秋社、1976 / 梅原猛『親鸞』小学館、1984