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概要
業(ごう、karman)は、サンスクリット語で 「行為」 を意味する。仏教・ヒンドゥー教・ジャイナ教に共通する古代インドの中心概念で、行為とその結果が因果関係で連鎖するという法則を指す。
日常日本語の「カルマ」は運命論的なニュアンスを持つが、本来の意味はむしろ「自分の行為が自分の未来を作る」という主体的責任論である。
三業
行為は身体だけの問題ではない。仏教では次の 3 種に分類する:
- 身業(しんごう) — 身体による行為
- 口業(くごう) — 言語による行為
- 意業(いごう) — 心・思考による行為
とくに 意業を業の根本と位置づける のが仏教の特徴。悪意があれば、行動に至らなくても業は積まれる。行為の倫理を動機まで遡って問う構造である。
現代への示唆
業は、組織論的に読み替えれば「組織文化の累積効果」に近い。
- 意思決定は一度では終わらない — 過去の判断が未来の選択肢を規定する(経路依存性)
- 小さな行為の積み重ねが組織の性格を作る — 「文化」とは業の総体
- 短期利益のための行為は、長期の業として戻ってくる — 顧客・従業員への扱いは必ず経営結果に反映される
「この会社には〇〇な文化がある」という現象は、過去の無数の意思決定・日常行為の業の果報として理解できる。文化を変えるには、日々の業(行為)を変えるしかない——カルマ論は、組織変革のリアリズムを示す。
関連する概念
[縁起]( / articles / dependent-origination) / [輪廻]( / articles / samsara) / 因果 / 組織文化
参考
- 原典: 『倶舎論』「業品」大正新脩大藏經 第 29 巻
- 研究: 雲井昭善『業思想研究』平楽寺書店、1979