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概要
華厳経(けごんきょう)は、正式名 『大方広仏華厳経』(だいほうこうぶつけごんきょう)。サンスクリット語原題は アヴァタンサカ・スートラ(「花飾りの経典」)。3 世紀頃までにインドで成立した大乗経典で、仏教経典中最も壮大なスケールで知られる。
中国で漢訳され、華厳宗として体系化された。日本では東大寺がその根本道場であり、大仏として知られる盧舎那仏(毘盧遮那仏)は華厳経の中心仏である。
中心思想——一即一切
華厳経の根本命題は:
「一即一切、一切即一」
ひとつはすべてを含み、すべてはひとつに集約される——という相互包摂の世界観である。
有名なたとえに 「インドラ網」(因陀羅網)がある。帝釈天の宮殿の網の結び目ごとに宝珠があり、1 つの宝珠には他のすべての宝珠が映り、その映った宝珠にもまた他のすべてが映る。無限の相互反映によって世界は成立している——これが華厳の宇宙観である。
現代への示唆
華厳経の世界観は、現代のネットワーク理論・システム論と驚くほど近接する。
- 企業は孤立した存在ではない — 顧客・取引先・社会・市場と相互に映し合う
- 個人の行動が全体に影響し、全体が個人を規定する — 組織論の核
- 部分の最適化は全体の最適化を保証しない — システムの相互作用を見る
経営戦略におけるエコシステム思考、プラットフォーム戦略、ステークホルダー資本主義——これらはすべて「一即一切」の現代的表現といえる。華厳経は、単独企業の視座を超えた総合的世界観の源流である。
関連する概念
華厳宗 / 盧舎那仏 / 東大寺 / インドラ網 / [縁起]( / articles / dependent-origination)
参考
- 原典: 実叉難陀訳『大方広仏華厳経』(八十巻本)大正新脩大藏經 第 10 巻
- 研究: 鎌田茂雄『華厳の思想』講談社学術文庫、1988